2020.11.11

第5回 仮説と実験

「科学的に考える」

これはEMEの社是といえる。

 具体的に実行に移すとなると、対象を徹底的に研究して「仮説を立てて」、後は仮説が正しいかどうかをクリアに実証するための「実験デザイン」、そしてその実験を正確に行う技量、技術をもって「実験する」ことだろうか。得られた結果に関しては仮説が正しかったかどうかは、実はどちらでも良い。自然に対する上手な「問いかけ」ができたかどうかで、実は研究の半分以上は勝負がついている。後は、自然が答えてくれたことを謙虚に受け止め熟慮するだけだ。それでは、どうしたら上手な問いかけができるだろうか?

 私はイメージ力ではないかと思う。自然はどのような構造または「かたち」をもっているか。そういえば、大学時代に物理を教えていただいた浜田哲夫先生はファインマン(量子電磁力学の研究でノーベル賞受賞)を評して「あいつには電子が見えるらしい」としみじみ語っていたのを思い出す。この時以来、自然対象が原子や分子のようにいくら小さくても「見える」ようにならなくては(イメージできるようにならなくては)科学者失格だと肝に銘じたものである。

 論文を読んだり実験するのもつまりは自然に対する正しいイメージを持ちたいためだ。そして、正しいイメージができれば予想が当たってくる。(センスが出てくる)

そんなこともあり、研究に限らず、何事も先入観を避けて、予想して物事に対応する習慣がついている。ベンチャー経営も法則があるわけではないだろうが、先行するベンチャーはとても良い実験例であるから徹底的に研究して、仮説・検証すべきだろう。むろん、ベンチャーは起業家によって目指すところや目線が違うので、参考になるところとならないところもある。EMEでは社員に研究以外でも科学的に考えることを勧めているが、経営自体も科学的に考えていきたい。

 蛇足だが、ここでいう「科学的」とは、日本学術会議の文系の先生方が唱える「科学的社会主義」の科学的とは何の関係もないことである。

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